犬山城から常満寺へと歩く
犬山城を訪れる観光客は多いですが、常満寺まで足を延ばす人は少ないでしょう。城を出て、南の方向に5〜6分も歩くと、静かな佇まいが見えてきます。



寺に至る道筋は、犬山市の観光ルートのメインストリートからは一筋外れており、静かな雰囲気の好きな方には、一般車もあまり入ってきませんし、散策にもってこいです。日常の生活感の中に、風情のある雰囲気が漂っています。小学校を囲む塀も、昔の御屋敷のようです。
これが、常満寺椿の原木!
常満寺椿は、関戸太郎庵椿の実生による変異種として生まれたとされています。
もともと、江戸中期の茶人高田太郎庵が、熱田神宮から譲り受けて愛した椿が「太郎庵椿」。その「太郎庵椿」が、後に、名古屋の豪商「関戸家」へと渡ったものが「関戸太郎庵」。さらに、この「関戸太郎庵」が、常満寺に伝えられ、常満寺椿が生まれたという系譜のようです。
当時の住職が茶人でもあったため、関戸家との縁があったことから、関戸太郎庵を譲り受けたとのこと。常満寺椿の、そのまた変異種として、紅常満寺椿が生まれたとのことです。本堂前に、これらの原木が一堂に並び立っています。
現在、火災で焼失した本堂の再建工事が行われているところで、中に入って見ることが出来なかったため、駐車場越しに見せていただきました。




住職にお尋ねしたところ、これらの由緒を丁寧に教えていただき、場所をご案内いただきました。
江戸の頃、椿が庶民にも広がったものの、時の為政者(尾張藩主?)は、市井の者に椿などまかりならぬとばかり、民家の椿については、古木を切り倒してしまったということらしいです。
このため、樹齢300〜400年の大木は、わずかに、常満寺のような寺社にしか残っていないとのお話しでした。
先年の火災で、常満寺椿も被害を受けましたが、何とか元の姿へと回復できたようで、貴重な原木が守られ、何よりです。
鐘楼の傍に、常満寺椿の立看板のある、30年生ほどの見本用の椿が植えられていますが、やはり折角のことですので、原木を見たいですね。貫禄が違います。

