松阪で「鎌倉絞り」の古木を見る

本居宣長の暮らしに触れることのできる「本居宣長記念館」

 8月12日、酷暑の中、お伊勢さんからの帰途に、松阪市を訪れました。

 「本居宣長記念館」に行こうと、市内を車で走っていくと、旧松阪城下の、武家屋敷の並ぶ街並みへと入りこみ、まるでタイムスリップしたかのような感覚に陥りました。

 城跡の傍に、記念館は位置しています。

 国学の大家として高名な本居宣長の、研究はもちろん、日々のなりわいが、わかりやすく工夫して展示されており、興味深く観覧させていただきました。

 全く字形の崩れもなく、活字と見まごうばかりの筆跡、備忘メモとその目録などの整理を見て、なんとも几帳面、律儀で、粘り強い学究肌のお方だったのだろうなあと改めて感じました。

 医者の稼業を続け、家族の生活を守りながら、研究に打ち込む堅実さにも感じ入るものがありました。

 記念館から山手の城郭側に上っていくと、本居宣長の旧宅が移築されています。1691年と伝えられていますから、330年前に建てられたようです。

 簡素・質実、コンパクトなつくりの家ですが、2階の研究部屋は、お日様がよく当たる開放的な部屋と見えました(残念ながら2階は立ち入り🚫です。)。

 

こんなところに「鎌倉絞」

 旧宅を見学後、見晴らしの良い城跡公園に出ると、手入れされた庭園があり、見ごたえのある椿が何本かありました。

 とりわけ、根本近く6本に枝分かれし、高さ、葉張りともに5メートル以上に及ぶ立派な一本には驚きました。樹齢も百年は優に超えているだろうと思われます。


 記念館の方に聞いてみると、「鎌倉絞り」とのことで、PCから写真も見せていただきました。いや、確かに、そうですね。

 「鎌倉絞り」は、樹勢がそんなに強くないので、ここまで大きく育つには、相当の時を経ているのではないかと思います。

 中京には、「鎌倉絞り」の古木ありと、ものの本には記載されていますので、昔から、好んで植えられてきた品種なのかもしれません。

 城下の街を背景に、高台に咲き誇るのは、絵になると思いますね。開花時には、これを目当てに来られる方もいるそうです。

 今回は、道すがらで、あまり時間をとれませんでしたが、界隈には、歴史ある旧家が多くあり、おそらく、椿の古木も、人知れず息づいているのではないでしょうか。

 花の季節に、ぜひ再訪したいと思います。

他にもこんな立派な椿の木が

 松阪市にある「来迎寺」は、樹齢300年を超える「オランダ紅」が見どころで、訪れたいと思っていたのですが、ネットで確認すると、2017年に惜しくも枯れてしまったということでした。樹齢300年から400年くらいの名椿が、近年に枯れてしまう例が多いのは、強烈な暑さも影響しているのではないでしょうか。

宣長さんは、研究や仕事の疲れを、愛好していた鈴の音で癒していたそうです。