素晴らしい紅葉に魅せられて幾度も訪れている西山の金蔵寺ですが、春には行ったことがありませんでした。2年前に、庫裏の中庭に五色椿の大木があるのがわかったので、今年初めて、春の金蔵寺の椿と桜を楽しんできました。(R7.4.12)
まず驚いたのが、金蔵寺には、こんなに藪椿が多かったのかと。今まで気づきませんでしたが、紅く咲く花が目印となって、いたるところに藪椿があることがわかりました。
同じ藪椿でも、花色が桃色のもの、黒みを帯びたもの、紫がかっているもの、さまざまに違いがあって単調ではなく、これも椿の魅力です。
もともと自生していたものもあると思いますが、参道やお堂周りなど、ポイントポイントに目立っているものも多く、藪椿の寺と呼んでもよいくらいでした。
そして、五色椿。やや訪れた時期が遅かったので、樹下は、落ち椿でいっぱいでしたが、樹上高いところには、まだ咲き残りの花が残っていました。
花びらが散るのではなく、椿らしく花ごとぽとりと落ちているので、聞いていたとおり散椿ではなかったですね。
花色は、五色椿の定番、白地に桃の筋と紅花のヴァリエーションで、思ったよりも小ぶりな大きさでした。落ち椿の量と色褪せ具合からすると、今年は3月末頃に花のピークを迎えていたようです。枝葉の伸びている位置がかなり高いので、間近に見られる花は少なく、見上げて、あるいは、やや遠目に楽しむ椿です。
この五色椿の大木は、いかにも古びた色合いの幹が株立ちとなり、木の根元に、独特の味わい深い風情があります。苔むす庭と蹲踞、椿の根元に、まだ色褪せていない五色の落椿という絵が一番しっくりきそうです。
ほかにも、園芸種の椿が何種類か静かに開花していました。
石段を上った左手の石燈籠そばの椿です。
以前に教えていただいた黒椿が10輪ほど咲いていました。落ち着いた暗紅色の光沢ある個性的な椿で大好きなのですが、樹勢が弱くて、私の庭の木は、今年も花をつけてくれませんでしたし、浄住寺の黒椿も見に行きましたが、ごくわずかしか咲いていませんでした。咲かせすぎると、すぐに弱って枝枯れしてしまうので、育てるのになかなか気をつかう椿です。
今年は、五色椿を目的に訪ねたのですが、山中にあるお寺なので、桜がまだ見ごろだったのがラッキーでした。モミジと桜は、やはりお寺に似合いますね。
桜と椿のシーズンが過ぎると、金蔵寺は新緑に覆われます。