実相院の床もみじ。そして石座神社に椿の巨木を見る。

1 岩倉の名刹・実相院門跡

 実相院は、左京区・岩倉の北部にあります。

 白川通を北上し、花園橋を直進(右折すると八瀬・大原方面です。)、岩倉街道(府道105号・岩倉山端線)を道なりに進み、最後に左に折れて、岩倉川を越えていくと、突き当りに山門(四脚門)が見えてきます。

 実相院は天台宗の単立寺院で、本尊は不動明王※です。

※客殿で拝観できます。左腰を捻り、右足を前に出すポーズは稀と説明書きにありました。1メートルに満たないほどの、不動明王さまです。

 鎌倉時代前期の寛喜元年(1229年)、関白近衛基通の曾孫の静基(じょうき)僧正により開山され、摂家の出身であることによって、門跡寺院となったとのことです。

 もともと、油小路今出川にあった※のですが、応仁の乱の兵火に遭い、当地に移り、その後衰微に至っていたところ、足利義昭の孫となる義尊の入寺以降、寺運が開け、享保5年(1720年)頃には、十六町五反五畝四歩の寺領を有すると記録されています。16.5ヘクタール超という広大さですね。

 (※今も、同地には、実相院町という名称が残っています。白峯神宮の北側です。)

 明治維新時に、寺域の多くを、病院用地として提供し、今に至るということです。

2 有名な「床もみじ」を鑑賞

 11月20日、10時前に到着。紅葉シーズンなので駐車できるかなと思いましたが、何とか、山門前の駐車スペースに停めることができました。

 観光バス仕立ての観光客が、コロナで従前のようには戻っていないので、この時期でも、さほどの混雑なく、拝観できるのは、ありがたい面もあります。

 受付を済ませて、客殿に入り、順路を進むと、山水庭園が眼前に広がります。

 奥には、樹々がこんもりと茂る小高い丘がそびえており、この庭園と一体となって、遠近と高低のある奥行きを感じるつくりとなっています。

 しばし、庭園をほっこりと鑑賞した後、客殿に戻ると、有名な「床もみじ」を見ることができる、「滝の間」に出てきます。

 紅葉のもちじが、黒光りする床に反射する様は、撮影禁止のためお伝え出来ませんが、日光に照らされた鮮やかな赤と黄色、まだ紅葉を迎えていない緑とが、微妙に混じり合いながら、床に映し出され、幻想的な雰囲気も漂い、名スポットとなるのもなるほどと思います。

この開口部分が、「滝の間」です。黒漆でコーティングされ、紅葉を写し込んでいます。

3 流石に紅葉の名所です。

 「滝の間」から、回廊に出ると、最も紅葉が美しい光景が見られました。

 西側には、市民参加型のワークショップなどを開催しながら、2014年秋に完成した「こころのお庭」があります。

 ということで、門跡ならば、多くの椿があるのではという、あては外れましたが、およそ30年ぶりに訪れることができ、紅葉を楽しむことができました。

客殿前にあった椿です。折角ですので掲載します。

4 石座神社に椿の巨木を見る。

 さて、実相院拝観後、近くに、鳥居が見えましたので、少し寄っていくこととしました。

 ここは、石座(いわくら)神社で、10月に催される、岩倉の火祭りで有名なところです。天禄2年(971年)、円融天皇が、大雲寺の造営に伴い、その鎮守社として、創立されたとされています。

 この宮座の東西に、椿の巨木がありました。

 とりわけ、写真左側、東側の椿は、幹径130センチもの巨木で、斜めに傾いて伸びる独特の形状です。一輪、紅い花が咲いていました。西側の椿も幹径100センチを超えており、東側の椿と比べれば、やや貫禄落ちはするものの、立派なものです。

(2023.5.3追記)

 シーズン中に行く機会を逸してしまい、ゴールデンウィークに立ち寄りました。

 巨木は咲き終わりでしたが、意外なことに、西側の木は、まだ、かなりの花をつけていました。遅咲きのようです。藪椿ではなく、園芸種のようですね。

 正面から見ると、拝殿の両側、狛犬の後方に、両木が並び立つという構図で、シンボルツリーという感じです。西側の椿が白だったら、より見ごたえあるコントラストになるでしょうね。

椿のこの年月を感じさせる風合いは、迫力があり、最高です。

 神社一帯に椿が散在しており、開花し始めているものもありました。

 ふらっと立ち寄ったところで、こんな巨木に巡り合い、驚きましたが、地元以外にはあまり知られていないのではないでしょうか。樹勢が弱っているようには見えず、シーズンには、一面の赤で彩られると想像できます。また、その機会に、お伝えしたいと思います。

藪椿かな。右側の椿は、小ぶりで、清楚な感じが魅力的ですね。