圓通寺で椿垣越しに比叡山を見る

1 岩倉幡枝に静かに立つ圓通寺

 北山通賀茂川を越えて東進し、府立植物園を過ぎて、下鴨中通との交差点を左折、深泥池を右手に見ながら洛北・岩倉へと進み、岩倉自動車教習所先から西へ行くと、幡枝の街並みに入ります。

 ここには、比叡山を借景とする庭園で有名な圓通寺があります。

 元は、後水尾天皇が、造営した山荘・幡枝離宮であり、後水尾天皇といえば、椿を愛好され、金閣寺の胡蝶侘助や、霊鑑寺の日光椿をはじめ、天皇にゆかりがあるとされる名椿が今なお残されています。

 庭園の椿垣は、椿の見所として記載があり、また、後水尾天皇にちなむ椿があるのでは思い、10月22日に、圓通寺を訪れました。


2 比叡山の借景といえばこの庭園

 庭園は、実にシンプル。椿垣が、枯山水の近景と、比叡山の遠景を、違和感なくつなぐ「緩衝帯」的な役割を果たしています。全体をうまく調和させる、この辺のバランスは、計算され尽くしているのでしょうね。

 モミジが色づきかけていますが、椿のシーズンには、この垣は、どのような色どりになるのでしょうか。

 縁側の両端前には、手水鉢が置かれており、その傍らには、椿が植えられています。

 縁側から手の届きそうなところに、柿が植えてありました。

 枯山水庭園の凛とした佇まいに気持ちが引き締まった後に、庭の横手で、このような身近な生活感ある樹があると少しほっこりします。庭の散策ができませんが、奥の巨木は、ぜひ傍で見たいですね。

3 中庭の椿

 境内建物をつなぐ回廊に囲まれた中庭には、幹周30センチほど、高さ3メートルくらいの、小ぶりの椿が2本植えられています。撮影禁止なので、映像をアップできませんが、案内の方にお聞きすると、うち一本は、色変わりの美しい椿とのことで、五色八重散椿系のものかもしれません。

 本堂に入ってすぐ、この中庭を眺める窓が開かれており、シーズンには、この椿がメインとして客を迎えることを想像します。

 法然院ほどの年季を経た椿ではありませんが、これはまた開花時を是非見たいですね。少し黄葉が目立ったのが、気になりましたが。

4 苔むす山門と早咲きの椿

 山門の屋根は、いい具合に苔むしており、実に風情があります。

 この椿は、早咲きのようで、すでに、数輪の花が開花していました。

秋咲白牡丹でしょうか。

 

 高名な庭園以外に、それなりの樹齢と思われる椿も、ところどころで見受けられました。

 また、開花時に訪れ、いろいろと種類やいわれなどを教えていただきたいと思います。