つい先日まで朝の冷え込みが続いていましたが、3月22日、23日の土日は、一気に暖かくなり、気温が夏日近くにまで上がりました。お天気と陽気に誘われて、京都府立植物園には、多くの人が繰り出し、広場ではお弁当を広げている家族連れも見かけました。
今年の梅は開花が遅れたため、梅園はまだ見ごろの木も残り、早咲きの桜は満開のものもちらほらあって、春の代表的な花を同時に見ることができて、お得感がありました。
椿も花盛りであればなおさらよいのですが、今年も昨年同様、開花がおくれており、椿園はまだ寂しい状態でした。
この時期には、恒例の「つばき展」が開催されており、今年で64回を数えます。
展示にあわせて、「京都の銘椿と原種ツバキ」と題する、日本ツバキ協会会長で、いのくち椿館名誉館長の箱田直紀氏の講演があり、私も参加しましたが、ほぼ満員の100人近くの方が詰めかけていました。椿ファンも結構多いのかも。
1 京都の銘椿が一堂に
定番のシリーズを今年も楽しませていただきました。
一輪挿しもよいのですが、花を見ると、やはり、樹の存する場所での雰囲気、姿を味わいたくなります。とりわけ、いつか大聖寺、長福寺を拝観できる機会が訪れてほしいですね。
黒みを帯びた椿は、「黒椿」の名を持つものが多いと思われ、名は同じでも、種類が違う例ですね。少し重めの渋さが素敵です。
銘花「小式部」
恋多き歌人で、早世を惜しまれた小式部内侍にちなむ名か。奔放さと上品さをあわせもつような花姿です。花弁の皺に特色がありますね。
2 中国、ベトナム原産椿
今回の展示では、「いのくち椿館」から、椿界?にセンセーションを巻き起こした「黄色い椿」をはじめ、中国、ベトナムの原種椿が勢ぞろい。
箱田氏は、講演会で、もともと黄色い椿は、ベトナムの「フラバ」という品種が発見され「幻の椿」として世界的に話題となったものの、遅れて発見された中国の「金花茶」の方が有名になったとおっしゃっていました。
新種の発見につきものの話ですが、「商品価値」があるため、自生地は、荒らされてしまっているとのこと。そもそも、パイナップルやカシューナッツなどの商品作物畑のための開発も進んでいるため、自生地が急速に消え去りつつあるそうです。
この種の椿の現物を見るのは初めてです。肉厚な花弁、ブナやカシワのような葉っぱは、私たちに馴染み深い椿とは「異種」という感じがしましたね。
3 「京椿」を次世代に
講演会の最後に、箱田氏から、京都の銘椿についてのお話がありました。
「『京椿』については、渡邊武氏が、精力的な調査をされ、記録を残されたが、それからもう半世紀以上が経過している。この間、既に枯れてしまった銘木もあるなど、データが更新されておらず、今どういう状況にあるかを調べて、次の世代へと引き継ぐことが大切と考えている。日本ツバキ協会、京都園芸倶楽部、また、様々な協力者が力をあわせて、渡邊氏の記録をもとに、「京都の銘椿」を新たに組み立てていくことが必要である。」
まさに、そのとおりと思うお話でした。私も、一介の椿ファンに過ぎませんが、銘椿の今を訪れて、記録し、その魅力を伝えていけたらと思っています。
(京都府立植物園「椿園」の椿たち)
「月光」
「玉川」
「椿園」で一番大きい椿かな。名もなき藪椿です。
「三浦乙女」
4 梅と桜


今年の桜は、咲き出すと早そうです。